
海外で働くと、否応なしに「現実」を突きつけられるものである。
私はいま、韓国に海外赴任中であるが、現地での生活を通じて、あまりにも衝撃的な事実を突きつけられた。
今回は、番外編として海外の年収事情を紹介する。
韓国の年収、想像以上に高かった
ある日、韓国人の同僚と話をしていたときのことである。
何気なく年収の話題になり、彼が自分の年収を打ち明けてくれたのだ。
その金額を日本円に換算してみて、私は言葉を失った。
ベース年収の比較だけで言えば、私より20%ほど高かったのである。
しかも私より年下である。
赴任手当や各種補助を加味すれば、私の総額年収のほうが高い。
だが、それらがなければ、私は完敗していた。
さらに、彼は現在の新卒初任給の額についても教えてくれた。
それが、日本の平均年収を上回っていたのである。
言うまでもなく、私は絶句した。
申し遅れました。
本記事の案内人、磯賀場 真我(いそがば まわれ)と申します。
かつて「使えないエンジニア」と揶揄された時期もあった私だが、
転職と海外赴任を経て、5年間で約600万円の年収アップを実現。
「もっと早く知っていれば…」と思う仕事のコツや、評価されるポイント、
遠回りのようで確実な「急がば回れ」の仕事術、年収を上げるために本当に必要な考え方と行動を伝えている。
以下の記事もあわせて読むことで、この記事や本ブログの主旨への理解がより深まるはずだ。
▶️ このブログの全体像(年収アップメソッドの概要)
▶️ 年収推移の実例(5年間で年収600万円アップの軌跡)
失われた30年が生んだ「見えない格差」
思わず日本と韓国の年収推移をグラフで確認してみたが、
そこには、はっきりと「差」が刻み込まれていた。

日本の平均年収はこの30年、ほぼ横ばい。
対する韓国は、約2.8倍にまで伸びている。
まさに、美しい右肩上がりのグラフである。
しかも、韓国が日本を平均年収で追い抜いたのは、数年前の話ではなかった。
──もう10年近くも前のことなのである。
この現実は、日本の「空白の30年間」の重みを、改めて我々に突きつけるものだ。
「額面」だけではない。“手取り”でも負けている
「いや、でも税金や社会保険料を引けば、日本の方が手取りは多いのでは?」
──そう思いたくなるのが人情である。
しかし、現実はそう甘くなかった。
手取りベースでも、日本は韓国はおろか、マレーシアや中国にすら抜かれてしまっていた。

主な要因は、「高すぎる社会保険料」と「住民税の存在」である。
各国の税・社会保険料負担率(2024年時点)
国名 | 負担率 |
---|---|
🇯🇵 日本 | 約30%(所得税+住民税+社会保険料) |
🇰🇷 韓国 | 約25%(住民税なし) |
🇺🇸 アメリカ | 約28%(州により変動) |
🇫🇷 フランス | 約35% |
🇩🇪 ドイツ | 約38% |
🇪🇸 スペイン | 約30% |
🇸🇬 シンガポール | 約15% |
🇲🇾 マレーシア | 約12% |
🇨🇳 中国 | 約20% |
🇻🇳 ベトナム | 約15% |
高い税率と横ばいの年収。
このダブルパンチによって、日本は「手取り」でも他国に後れを取っている。
だが「生活コスト」を加味すれば逆転できるのか?
ここで一つ、希望の光が差し込む。
そう、「物価」である。
日本は長らくデフレ傾向が続いており、生活コストが安く抑えられてきた。
つまり、調整済み(物価を加味した)年収で比較すれば、まだ希望はある。
実際、物価調整後のグラフでは、マレーシアとは拮抗、中国には僅差で勝っている。
これを逆に言えば、
日本は「低収入だが、生活コストも低い国」なのである。

※本ページでのグラフや数値は、調査方法や計算方法によって変わってくるため、あくまでも目安として参考にしてほしい。
年収アップのヒントは「グローバル視点」にあり

このような状況下において、我々が考えるべきことは明確だ。
年収は、政府の政策で上がるものではない。
自らの努力で勝ち取るものである。
平均年収の上昇を待つのではなく、
個々人が “市場価値” を高めていくほかない。
そこで一つの提案がある。
アメリカのような高収入国に現地採用され、日本に駐在するという逆輸入的働き方
──これこそが、収入と生活コストのバランスを最大化できる “戦略的配置” である。
もちろん、そのためには英語力だけではなく、圧倒的な実力が必要だ。
だからこそ挑む価値があるのだ。
老後を見据えるなら“物価の安い国”も選択肢
リタイア後の生活を考えるなら、
物価が安く、調整済み年収が高い国を選ぶのも一手である。
シンガポール、マレーシア、ベトナムといった国々が候補に挙がるだろう。
ただし、10年後、20年後の世界がどうなっているかは、神のみぞ知る領域である。
この記事のまとめ
- 日本の平均年収はこの30年間ほぼ横ばい。一方、韓国をはじめ他国は右肩上がりで成長している
- 手取りベースで見ても、日本は税・社会保険料の負担が大きく、他国に後れを取っている
- ただし、物価を考慮した「実質的な年収(調整済み年収)」では、日本はまだ健闘している部分もある
- 海外企業に現地採用され、日本で働くなど、「収入 × 生活コスト」を最適化する働き方が重要
- 老後は物価の安い国を選ぶことで、より良い生活水準を実現できる可能性もある
- 平均年収の上昇を待つのではなく、自ら“市場価値”を高めていく意識が何よりも大切
- 今後は「物価上昇に、収入がどこまで追いつけるか」が勝負の分かれ目となる
📢 磯賀場 真我からひと言
年収とは、場所と時代に縛られるものではない。
真に縛られるのは、“自らの思考”である。
世界を知り、比較し、戦略を持って動け。
そうすれば、たとえ日本にいながらでも、世界水準の収入は実現できる。
この空白の30年を嘆くだけでは、何も変わらん。
「だからこそ動く」と決めた瞬間に、すでに他の誰かを一歩リードしているのだ。
健闘を祈る