
~「評価される社員」になる現職アップ戦略~
転職すれば年収は上がる。
──その考え方は、一部では正しい。だが、唯一の道ではない。
現職に留まりながら、市場価値を高め、昇給・昇進を実現する道も確かに存在する。
むしろ、転職に頼らずして評価される人材こそ、真に価値のある存在であると私は考える。
というのも、平均的な企業の昇給率は年間たったの0.7%。
月給にすれば、30代後半でたったの2千円増である(出典:マイナビ転職)。
放っておけば年収は微増どまり。
逆に、意図的に戦略を持てば、“現職のまま” でも一気に評価を引き上げることが可能なのだ。
本記事では、私が考える、転職せずとも市場価値と社内評価を高める「5つの習慣」を紹介しよう。
申し遅れました。
本記事の案内人、磯賀場 真我(いそがば まわれ)と申します。
かつて「使えないエンジニア」と揶揄された時期もあった私だが、
転職と海外赴任を経て、5年間で約600万円の年収アップを実現。
「もっと早く知っていれば…」と思う仕事のコツや、評価されるポイント、
遠回りのようで確実な「急がば回れ」の仕事術、年収を上げるために本当に必要な考え方と行動を伝えている。
以下の記事もあわせて読むことで、この記事や本ブログの主旨への理解がより深まるはずだ。
▶️ このブログの全体像(年収アップメソッドの概要)
▶️ 年収推移の実例(5年間で年収600万円アップの軌跡)

習慣①|「社外」を意識して働く
~今の仕事を “通用する武器” に変える思考法~
現職に甘んじている者は、自分のスキルを「社内限定」の視点で見がちである。
だが、評価される社員は違う。
常にこう自問しているのだ。
- 「このスキルは他社でも通用するか?」
- 「この知識は業界共通のものか?」
- 「履歴書に書ける成果になっているか?」
この “外の目” を持つだけで、日々の仕事が市場価値の投資行為に変わる。
そしてもう一点、極めて重要な視点がある。
それは、「社会にとってそのスキルや知識に需要があるのか?」という問いである。
今は社内で評価されていたとしても、
そのスキルが社会全体で求められていないのであれば──
それは、近い将来淘汰されるリスクのあるポジションであるということだ。
・会社の中では重宝されているが、社外では通用しないルールや仕組みに依存していないか?
・自分の知識や経験は、今後も社会にとって必要とされるものなのか?
・数年後の業界や技術トレンドの変化に、自分は適応できるか?
このような冷静かつ客観的な“社会目線”を持つことで、
スキルを「過去の資産」ではなく「未来への投資」として育てることができる。
会社の中だけでしか価値がない自分から、
どこに行っても必要とされる人材へ──。
その変化は、意識ひとつで始められるのだ。
習慣②|「成果の見える化」と “嫌味のない” アピール

~評価は「設計」できるものと心得よ~
日本人は、自分の実績を語るのが下手だ。
だが、それではいつまで経っても「上司が見てくれてない…」と嘆くだけで終わる。
評価される社員は、成果を定量的に見える形で設計し、
自然なかたちでアピールする工夫をしている。
- 数値で成果をまとめる(例:原価○%削減)
- 上司との1on1で目標と成果を整理して伝える
- 社内勉強会や報告会で、取り組みを簡潔に共有する
ポイントは、「いかに嫌味なく伝えるか」。
謙遜や沈黙は、もはや美徳ではない。
遠慮せず、“伝える努力”を日常に組み込むことが、信頼と年収を引き上げるのだ。
👉 関連記事:「年収が上がる人」のリアルな共通点
その際、評価を “待つ” のではなく、“設計” する意識が欠かせない。
上司との信頼関係も同様である。
「この人に評価されるのは理不尽だ」と感じているうちは、チャンスを逃しやすい。
👉 関連記事:上司を“好き嫌い”で見ていないか?
実際に昇給や昇進を果たす人は、上司に “頼まれる側” へと変化している。
信頼の積み重ねが、「この仕事はあいつに任せよう」という評価を生み出すのだ。
👉 関連記事:「頼まれる力」で年収が決まる
そして重要なのは、一発逆転を狙わないこと。
小さな成功を積み上げ、それを丁寧に見せていく──
それが評価の王道であり、再現性の高い年収アップの道なのである。
👉 関連記事:「一発逆転」を狙うな、信頼は積み重ねでつくれ
習慣③|「昇進ルート」を逆算し、制度と文化を味方につける
昇給・昇進を「偶然のご褒美」だと思ってはならぬ。
それは “戦略的に設計するもの” である。
たとえば──
- 「○○資格が昇進要件になっている」
- 「社内公募制度を使えば別部署に挑戦できる」
- 「難易度の高い案件に手を挙げれば実績を積める」
このように、自社の制度や昇進ルートを把握しておけば、
現職にいながらでも明確な“攻め方” が見えてくる。
もちろん、努力しても評価が上がらない “社風の壁” があることも事実だ。
その場合は、転職を視野に入れる現実的判断も必要である。
だが、まずは自社の土俵を徹底的に活かすことが、賢い選択である。
習慣④|「使えない社員」から抜け出す、たった一つの方法

~プロ意識と信頼回復の道~
もし今、上司から「期待されていない」と感じているなら──
それは終わりではなく、再起のチャンスだ。
信頼は、期待を超える行動でしか取り戻せない。
- 次工程を“社内のお客様”とみなし、仕事の質を上げる
- 期限前倒し、提案付きの納品で「おっ」と思わせる
- 面倒な仕事ほど、率先して「どう活かせるか」を考える
こうした“頼まれなくてもやる姿勢”が、プロとしての信頼回復の第一歩となる。
👉 関連記事:プロ意識が年収を変える|“頼まれなくてもやる人”が評価される理由
実際、私自身も過去に「仕事を与えない」と告げられた立場から、
一つひとつの仕事の質と向き合い、信頼を取り戻し、
やがては重要プロジェクトを任されるまでに至った。
その体験談の詳細は、別稿にて語る予定だが、ここで一つだけ強く伝えたい。
“変われる者”だけが、評価をひっくり返せる。
社内での立ち位置を変えるには、プロ意識という内面のスイッチが欠かせない。
その覚悟と行動が、評価と年収を確実に変えていくのである。
習慣⑤|「自分だけの武器」を深掘りする

~スキルの “掛け算” と “売れる視点” を持て~
器用貧乏では、市場価値は上がらぬ。
「これは自分に任せてくれ」と言える分野が一つでもあるかどうか。
その“軸”があるか否かで、評価は天と地ほど変わる。
・特定の技術
・交渉力や調整力
・現場の知見とマネジメントのバランス
どれでもよい。
だが、“広く浅く”ではなく、深く掘ることが信頼を呼び寄せる。
さらに言えば、一つの専門性だけでは不十分だ。
他と差をつけるには、スキルを掛け合わせて「希少性」を生み出す発想が重要になる。
👉 関連記事:スキルの掛け算で「希少価値」を生み出す戦略
加えて、自分の得意分野が「市場でどう評価されるのか」を知っておくこと。
現場では当たり前のスキルも、外から見れば強みになる場合があるのだ。
👉 関連記事:あなたの「市場で売れるポイント」はどこにある?
また、技術職であれば、自らの実力を「社外に見える形で残す」ことも極めて有効である。
たとえば、特許の出願・公開は実力と専門性を証明する客観的な武器となる。
👉 関連記事:エンジニアこそ「特許」を武器にせよ
そしてこうした社外発信や可視化は、“整理対象から外れる”ための戦略的行動にもつながる。
評価される人とは、「必要とされる人」なのだ。
👉 関連記事:“いつの間にか対象外”にならないための戦略
まとめ|転職しなくても、年収も信頼も上がる時代へ

市場価値とは、「転職すれば得られるもの」ではない。
どこでも通用する自分をつくることで、はじめて得られるものである。
そしてその価値は、今の職場でも戦略的に動けば引き出せる。
- 社会目線でスキルを育て、
- 成果を見える形にし、
- 評価される伝え方を工夫し、
- 自分の武器を深掘りし、
- 必要があれば外に見せる。
これらを習慣にすれば、あなたは “転職しなくても求められる人材” になる。
この道は、決して楽ではない。
だが、最も確実に自分の価値を高める方法であると、私は断言しよう。
📢 磯賀場 真我からひと言
転職は、環境を変えれば評価も変わるという“即効薬”である。
だが、環境に依存せずとも、現場で信頼を勝ち取り、成果で証明する者こそ、本物である。
自らの価値を冷静に見つめ、磨き、示すこと。
この “習慣の変革” こそが、転職に頼らず年収を伸ばす者たちの共通点なのだ。
健闘を祈る