
〜帰任後のキャリアと年収を伸ばす“戦略的アプローチ”〜
海外赴任――それは、手当によって年収が一時的に跳ね上がる “ボーナスステージ” に見えるかもしれない。
しかし、真に年収とキャリアを伸ばす者は、その「後」にこそ勝負をかける。
本記事では、筆者の現在進行形の実体験も交えつつ、「帰任後に海外赴任経験をどう活かせばよいか」という戦略論をお届けしよう。
今回は海外赴任満了後に焦点を当てていているが、まだその予定がないきみにも、将来的にこの記事が役に立つときが来るかもしれない。
以下関連記事と併せて読むことで、きみの海外赴任への想いはますます膨らむはずだ。
【海外赴任に踏み切れないきみへ】不安の正体と、背中を押す戦略的思考法
【赴任の矢を受け取れ】海外赴任に “選ばれる者” と “選ばれぬ者” の決定的な違い
海外赴任で年収が上がる7つの理由|手取り・手当・キャリアまで徹底解説
申し遅れました。
本記事の案内人、磯賀場 真我(いそがば まわれ)と申します。
かつて「使えないエンジニア」と揶揄された時期もあった私だが、
転職と海外赴任を経て、5年間で約600万円の年収アップを実現。
「もっと早く知っていれば…」と思う仕事のコツや、評価されるポイント、
遠回りのようで確実な「急がば回れ」の仕事術、年収を上げるために本当に必要な考え方と行動を伝えている。
以下の記事もあわせて読むことで、この記事や本ブログの主旨への理解がより深まるはずだ。
▶️ このブログの全体像(年収アップメソッドの概要)
▶️ 年収推移の実例(5年間で年収600万円アップの軌跡)
帰任直後は最大のチャンス――昇進を勝ち取れ

海外赴任を終えた者にとって、まず狙いたいのは社内での昇進である。
多くの企業が、グローバル経験者を貴重な “戦略人材” とみなし、管理職候補として目を向けてくる。
だが、忘れてはならぬ。
評価とは、受け身で得られるものではない。
赴任期間中の実績は、帰任前後に自ら発信せねば埋もれてしまう。
「自分は何を成し遂げたのか」「どんな価値を創出したのか」を、“見える化”して伝えることが必要不可欠である。
もし社内で公募されているポジションがあれば、迷わず手を挙げるべし。
赴任経験そのものが、一種の “昇進試験” のような役割を果たすこともある。
「社外」で勝負せよ――転職という選択肢
👉 関連記事:
【転職戦略】年収アップを実現する5つのルート
仮に社内での評価が思わしくなければ、視野を広げよう。
海外赴任は “転職市場” において極めて強い武器となる。
英語力、異文化対応力、現地でのマネジメント――これらを兼ね備えた人材は、外資系企業やグローバル企業にとって垂涎の的である。
実際に、帰任直後に転職し、大幅にアップした事例は珍しくないという話も耳にする。
特に、「帰任から時間を空けずに動く」ことが重要である。
駐在中の高い給与水準をもとに交渉を始められるため、条件交渉において有利に展開しやすい。
人脈は “帰任後の宝” になる
海外赴任中に築いたネットワークは、キャリアの“果実”となる。
取引先、現地法人の同僚、上司――こうした縁は、将来の転職、事業立ち上げ、あるいは社内プロジェクトでも大きな支えとなる。
特に、信頼関係を築いた相手が他社へ転職した際に、自身も声をかけられるといった展開は現実に起きる。
そのためにも、
- 業界のイベント参加
- ビジネスSNS(LinkedInなど)の活用
- 帰国後も続くちょっとした交流
これらを怠ってはならない。
ネットワークこそが、“次のチャンス”の布石となるのだ。
「浦島太郎現象」にどう備えるか
帰任後に直面しがちなのが、“浦島太郎現象”である。
本社の人間関係や文化が変化しており、自分だけ置いてきぼりにされたような感覚――それは決して他人事ではない。
このギャップに潰されぬよう、情報のキャッチアップと柔軟な姿勢が求められる。
- 業界ニュースを定期的にチェック
- 社内文化に“馴染む”努力
- それでいて海外で培ったスピード感・成果志向は武器として活かす
つまり、「謙虚さ」と「自己アピール」の両立こそが、帰任後の評価を決める鍵なのである。
【実例】帰任者たちのその後――分かれる “進路” と “価値観”

ただし、こうした適応が必ずしもすべての帰任者に当てはまるわけではない。
海外の働き方が肌に合っていた者にとっては、「日本への帰国」そのものがストレスになるケースもあるのだ。
以下にいくつかの実例を挙げよう。
1. 帰任後すぐに転職した現法長
ある現法長クラスの駐在員は、任期満了とともに日本へ帰任したが、間もなく転職していった。
理由は明確だ。
海外では自分の裁量でスピード感を持って意思決定できていたのに、帰国後は組織の壁や根回しに追われ、「思うように仕事が進まない」と不満を感じたのだろう。
詳細な転職先は不明だが、おそらくは赴任中から転職を視野に動いていたと考えられる。
赴任経験を武器に、より良い条件で新天地へ進んだことは想像に難くない。
2. 別の海外拠点へ異動した現法長
別の現法長は、「日本には戻りたくない」とはっきり宣言し、実際に帰国せずに別の海外拠点へ異動していった。
一国一城の主として現地法人を率いていた者にとって、日本での“しがらみ文化”はどうしても性に合わなかったのだろう。
彼は、会社との交渉の末、再び海外の現法長ポジションを得て、帰国を回避した。
3. 日本帰国を望んでいた者
一方で、日本への帰国を心待ちにしていた者もいる。
この人物は、もともと海外赴任に乗り気ではなかったが、現法長から強く誘われて渋々赴任。
現地の食事が合わず、週末も外出せずに過ごしていたとのことだ。
そんなタイプだったが、帰任後には課長クラスから部長クラスへ昇進していた。
日本の組織文化に馴染むことで、その後のキャリアを着実に伸ばした好例である。
4. 私自身の場合(現在進行形)
わたしの場合は、一般的なケースとは少し異なる。
現在は外資系企業の海外拠点に赴任中であるが、日本拠点の業績が芳しくない状況もあり、帰任=キャリアアップとは言い難いと感じている。
「日本へ戻れる」というのは事実かもしれないが、「日本に戻って、自分のキャリアを活かせるポジションに就ける」かは別である。
現時点で考えている将来の選択肢は以下の通りである:
① 海外赴任契約延長
② 現在の勤務先とのローカル契約
③ 他の海外拠点への赴任
④ 転職
もちろん、状況は常に変化するため、柔軟に対応していくつもりだ。
しかし、こうした “選択肢の棚卸し” をしておくこと自体が、キャリア戦略や人生設計において非常に重要なプロセスであると考えている。
このように、赴任後の進路は十人十色である。
だが、傾向として言えるのは、海外で良い経験・成功体験を得た者ほど、「もう一度海外へ」と望む傾向が強いということだ。
まとめ:帰任後のキャリア戦略チェックリスト

- 【社内昇進狙い】 帰任前後に成果アピールを徹底し、戦略ポストを狙う
- 【転職ルート】 グローバル経験+英語力+実績で好条件転職を目指す
- 【ネットワーク活用】 海外で築いた人脈を帰任後も維持・活用
- 【浦島対策】 国内情報をキャッチアップし、柔軟に適応
- 【価値観整理】 自分に合う働き方(日本 or 海外)を再確認する
📢磯賀場 真我からひと言
海外赴任は「点」の経験にとどめてはならぬ。
それを「線」としてキャリアに繋ぎ、「面」として人生に広げていく──その構想力と実行力こそが、真に年収を伸ばす鍵である。
赴任経験という金の種をどう育て、どう収穫するかは、すべて君の手に委ねられている。
帰任後こそが勝負である。
さあ、育てようではないか──その経験を、「金のなる木」へと。
健闘を祈る