
転職によって年収を上げたい。
その願いを叶えるには、“どこで働くか” が極めて重要だ。
特に、日系企業と外資系企業では、収入・昇給・キャリア形成のルールが根本的に異なる。
それを知らずに転職してしまうと、「思っていたのと違った…」と後悔することにもなりかねない。
では、年収アップという観点で見ると、どちらが有利なのか?
本稿では、日系企業と外資系企業の両方へ務めた私の経験と、周囲の転職者たちの声をもとに、両者の違いを明らかにしていこう。
申し遅れました。
本記事の案内人、磯賀場 真我(いそがば まわれ)と申します。
かつて「使えないエンジニア」と揶揄された時期もあった私だが、
転職と海外赴任を経て、5年間で約600万円の年収アップを実現。
「もっと早く知っていれば…」と思う仕事のコツや、評価されるポイント、
遠回りのようで確実な「急がば回れ」の仕事術、年収を上げるために本当に必要な考え方と行動を伝えている。
以下の記事もあわせて読むことで、この記事や本ブログの主旨への理解がより深まるはずだ。
▶️ このブログの全体像(年収アップメソッドの概要)
▶️ 年収推移の実例(5年間で年収600万円アップの軌跡)
日系 vs 外資の比較一覧(年収アップ目線)

項目 | 日系企業 | 外資系企業 |
---|---|---|
収入面 | 同業他社内で横並び傾向が強く、突出しづらい | ポジション・交渉力次第で高年収が狙える |
昇給面 | 年功序列や評価制度により昇給が緩やか | 成果主義が基本。結果を出せば大幅昇給も可能 |
転職のしやすさ | 中途採用が増えているが、年齢や社風が障壁に | 中途採用が中心。年齢よりもスキルが重視される |
リスク | 終身雇用志向がまだ強く、途中解雇は稀 | 業績次第でレイオフや支社閉鎖の可能性がある |
突然の解雇リスク | ほぼ無し | 事業撤退や再編に伴い、能力に関係なく解雇あり |
働き方 | 上司・部下関係が強く、報連相を重視 | 自立性が求められ、上司と対等に議論する文化 |
語学要件 | 英語力はあれば有利だが必須でない場合も | ビジネスレベルの英語が求められることが多い |
キャリアの自由度 | 社内異動や長期的なキャリアパスが中心 | 転職やヘッドハンティングによるキャリア構築が一般的 |
外資系の最大の魅力は「高収入」──だが覚悟も必要
JACリクルートメントによれば、外資系企業では、ポジションやスキル次第で、年収100〜300万円以上のアップも珍しくない。
特に専門性の高い職種や英語を武器にできる人材は、1.5倍〜2倍の待遇を提示されることもある。
なぜそこまで差が出るのか?
それは、外資が成果=報酬という極めてシンプルなロジックで動いているからである。
実力主義の世界では、昇給幅も大きく、評価がダイレクトに反映される。
一方で、成果が出なければシビアな扱いを受ける可能性もある。
そして最大のリスク:突然の解雇
忘れてはならないのが、突然の事業撤退や支社閉鎖による解雇リスクである。
これは決して誇張ではない。
どんなに優秀で成果を上げていても、本国の経営判断ひとつで切られる可能性がある。
私自身、そうした場面をこの目で見てきた。
体に例えるなら、日本支社は「脳」や「心臓」ではなく、「手足」のような存在だ。
必要があれば切り落としてでも、本体を守る。
その後、ビジネスチャンスが再来した際は、優秀な人材を高報酬で獲得すればいい。
それが外資系の合理的な考え方である。
もちろん、突然と言っても、ベンチャーでなければある程度の猶予はある。
退職金の上乗せや転職サポートも用意されるケースもあるが、日系のような手厚さは期待しないほうが良い。
安定志向なら日系企業──だが “伸び幅” は限定的

日系企業のメリットは、何といっても安定感である。
成果が多少出せなくても、即座に降格・解雇されることは少ない。
だがその分、年功序列や評価の“横並び文化” が根強く、収入の伸び幅はどうしても小さくなる。
周囲と足並みを揃えながら少しずつ昇進・昇給していく──
このテンポ感が「もどかしい」と感じるなら、外資系に目を向けてみるのも一手だ。
※最近では、日本企業もジョブ型雇用を採用し始めているが、定着するには時間がかかるだろう。
外資系企業に向いている人とは?
外資系企業は「自由で成果主義」というイメージが強いが、そこに向いている人と、そうでない人がいるのも事実である。
以下に、外資系にフィットしやすいタイプの特徴を挙げておこう。
✅ 外資系に向いているタイプ
- 成果で評価されたい人
年齢や勤続年数ではなく、実績で昇進・昇給したいという明確な意思がある人。 - 交渉力に自信がある人
自分の仕事に値段をつけられる人材は、外資でこそ輝く。 - 自立して働ける人
上司の指示待ちではなく、目標に向かって自分で進めるタイプ。 - 変化をポジティブに受け入れられる人
組織改編、上司の交代、事業の再編──環境の変化が激しくても柔軟に対応できる。 - 英語に前向きな姿勢がある人
完璧である必要はないが、意思疎通に対して恐れず挑戦できるマインドは重要だ。
逆に、安定志向が強い人や、長期でひとつの会社に腰を据えてキャリアを築きたい人には、外資のスピード感や合理主義は合わないかもしれない。
外資系企業へ転職するための準備とは?
では、外資系企業に転職するには、どのような準備が必要なのか?
ここでは、実際に外資へ移った私自身の経験を踏まえたリアルなポイントを紹介しよう。
1. 英語力の強化(特に“聞く・話す”)
- 書類選考や面接では、「話す力」と「聞き取る力」が最も重要視される。
- 完璧な文法よりも、「相手と意思疎通できるか」が鍵だ。
- 英語面接が不安な方は、英会話スクールやオンライン英会話を活用して場数を踏んでおくべきである。
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2. 職務経歴書の“英語版”と“成果重視”化
日系企業向けの職務経歴書とは別に、英語版Resume(レジュメ) を用意しよう。
ポイントは「業務内容」ではなく、「成果」にフォーカスすること。
例:
×:「海外顧客向けにプレゼン資料を作成」
○:「海外顧客とのプレゼンにより年間契約額20%増加に貢献」
3. 外資系専門の転職エージェントを活用
外資系企業の情報は、転職サイトに表れていない“非公開求人”が多い。
そのため、外資系に強いエージェントを活用することが必須となる。
信頼できるエージェントは、あなたの市場価値や交渉術も指南してくれる頼れる味方だ。
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4. 常に「今クビになっても動ける状態」を保つ
- 自己分析と市場価値の棚卸し
- スキルアップとネットワーキング
これは外資で生き抜くための鉄則である。
突然の解雇に備え、常に次の一手を持っておく。
転職市場の動向、企業情報、スキルの棚卸し──
日頃からアンテナを張っておけば、“突然”が怖くなくなる。
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我々が取るべき行動とは?

年収アップを目指すなら、この波にどう乗るかが重要になる。
外資系企業は、一生を共にする会社というより、“利害が一致している間だけ”付き合う関係と割り切って考えるべきだ。
日系企業のように、会社や仕事仲間への義理人情ではなく、
お互いの利害関係という基準で割り切れる分、ドライに感じるかもしれないが、
感情抜きにした、単純明快でロジカルな判断ができるのは、ある意味楽かもしれない。
つまり、事業縮小や閉鎖の危機が訪れたら──
会社にしがみつくのではなく、手切れ金をもらって、次のフィールドに移る。
その次に狙うのは、勢いのある別の外資系企業だ。
上手く乗り換えられれば、手切れ金+年収アップ=ダブルアップも現実的である。
もちろんこれは理想論であり、現実にはタイミングや感情的な障壁もある。
しかしだからこそ、常日頃からの準備と意識が鍵となるのだ。
この記事のまとめ
- 外資系企業は年収アップを狙いやすいが、リスクも高い
- 成果主義により昇給幅が大きく、高収入が実現しやすい
- 一方で、事業縮小や支社閉鎖による“突然の解雇リスク”がある
- 日系企業は安定性が高いが、収入の伸び幅は限定的
- 年功序列と横並び文化が根強く、急激な昇給は起きにくい
- 年功序列と横並び文化が根強く、急激な昇給は起きにくい
- 外資系に向いているのはこんな人
- 成果で評価されたい、自立して働ける、変化に柔軟、英語に前向きな人
- 成果で評価されたい、自立して働ける、変化に柔軟、英語に前向きな人
- 外資系へ転職するための準備とは
- 英語力(特に会話)の強化
- 成果重視の英語Resume作成
- 外資専門の転職エージェントの活用
- 常に“クビになっても動ける”状態を維持する意識
- 戦略的に波に乗れば、手切れ金+年収アップというダブルアップも可能
- 外資は “利害一致の関係” と割り切り、勢いある企業を乗り継ぐことが鍵
📢磯賀場 真我からひと言
外資系企業への転職とは、“高収入という果実”を得る代わりに、“環境変化という風”を受け入れる決断である。
そしてその果実は、準備を怠らず、戦略的に動いた者だけが手にできる。
年収アップを本気で望むならば、今この瞬間から備えよ。
「いつでも飛び立てる力」を持つ者にこそ、選択の自由が訪れるのだ。
健闘を祈る