
海外赴任が決まったとき、多くのサラリーマンがまず悩むのが「家族を連れていくべきか否か」である。
年収アップのチャンスを活かすか、家庭の安定を優先するか──。
この判断は、年収・キャリア・家族関係・健康など、人生のあらゆる面に影響を及ぼす重要な分岐点となる。
本記事では、実際に海外赴任を経験した私の視点から、「家族帯同」vs「単身赴任」のメリット・デメリットを比較しながら、最適な選択肢を探っていく。
以下記事を事前に読んでおくこととさらに理解が深まるはずだ。
海外赴任で年収が上がる7つの理由|手取り・手当・キャリアまで徹底解説
申し遅れました。
本記事の案内人、磯賀場 真我(いそがば まわれ)と申します。
かつて「使えないエンジニア」と揶揄された時期もあった私だが、
転職と海外赴任を経て、5年間で約600万円の年収アップを実現。
「もっと早く知っていれば…」と思う仕事のコツや、評価されるポイント、
遠回りのようで確実な「急がば回れ」の仕事術、年収を上げるために本当に必要な考え方と行動を伝えている。
以下の記事もあわせて読むことで、この記事や本ブログの主旨への理解がより深まるはずだ。
▶️ このブログの全体像(年収アップメソッドの概要)
▶️ 年収推移の実例(5年間で年収600万円アップの軌跡)
家族帯同か単身赴任か──その判断は「お金」だけではない

単身赴任は一見ラクに見えるが、見落とされがちな落とし穴も多い。
一方で、家族を連れて行くという選択肢には、人生設計やキャリア戦略との深い結びつきがある。
本当の「得」とは何か?その問いを置き去りにしてはならない。
年収・手当面の違い:家族帯同のほうが優遇される?
家族帯同手当、住宅補助、教育補助金、医療サポート──
企業によって制度は異なるが、帯同のほうがトータルでのサポートが手厚くなるケースが多い。
一方で、現地の生活費や物価、日用品の調達コストなど、見えにくい出費もあるため、「実質的な可処分所得」で比較する視点が重要だ。
家族帯同のリアル:メリットと覚悟すべき課題
メリット
- 家族の理解と応援を得ながら海外での挑戦ができる
- 現地での生活リズムが安定しやすい
- 子どもにとって語学・国際感覚の大きな成長機会になる
デメリット
- 配偶者のキャリアを一時中断せざるを得ない場合がある
- 医療・教育の水準が国によって大きく異なる
- 夫婦間の「文化適応度」に差が出ると、ストレスの原因になる
単身赴任の現実:自由と引き換えに失うもの

メリット
- 自由な時間が確保され、仕事に集中しやすい
- 家族の生活環境を変えずに済むため、子どもの進学などが安定
- 現地の物価が高い場合、生活コストを抑えやすい
デメリット
- 精神的な孤独やストレスが蓄積しやすい
- 健康を崩しやすく、自己管理力が問われる
- 家族との絆が疎遠になりやすく、関係の維持に努力が必要
キャリアへの影響は?単身赴任と家族帯同の差異
海外赴任の目的や役割にもよるが、家族帯同は「長期駐在前提=現地を任せる人材」として見られやすく、
本社や海外現地法人からの評価にもつながりやすい。
一方、単身赴任は一時的な火消し要員のように扱われることもある。
帰国後のキャリア設計を考えるなら、「海外での成果」とともに、「帯同という覚悟」も評価対象になることを忘れてはならない。
実例で見る「帯同 or 単身」──私と同僚のリアルな選択
【私の場合】単身赴任という選択がもたらした“収支と自由”
私は現在、韓国に単身赴任中である。
当初は家族帯同も検討したが、最終的には単身を選んだ。その理由は以下の通りだ。
- 妻も仕事を持っており、日本を離れるのは難しかった
- 数年後に帰国予定のため、持ち家や車の維持管理が必要だった
項目 | 家族帯同 | 単身赴任 |
---|---|---|
生活費 | ○(同居で効率的) | △(別居でやや非効率) |
妻の収入 | △(退職・休職) | ○(継続可能) |
手当の増額 | △ (単身赴任に対して支度金は増額、アパートの上限額は拡大) | ー ※基準 |
さらに、単身赴任には帰国補助の柔軟性という利点もある。
交渉により、自分の帰国分だけでなく、家族が訪韓する際の費用も補助対象とすることができた。
妻の職業は比較的長期休暇を取りやすいため、年に数回、1ヵ月ほど韓国に滞在することが可能となっている。
結果として、私自身の日本への一時帰国を合わせると、年間4カ月以上を家族と共に過ごせており、単身赴任としては比較的満足度の高いスタイルが実現できている。
そして、大きな要因が「NISA」だ。
私は海外赴任中(日本非居住者)のためNISA利用には制限がかかるが、妻が日本に残ることで、妻名義のNISAを活用し非課税での資産形成が継続できている。
この “時間の損失を避けられた” という点は非常に大きい。
【同僚のケース】家族帯同が “生活コスト増” となった例も
同じく韓国に赴任している同僚2人は、家族帯同を選んだケースである。
いずれも「生活コストが想定より高く、貯金額に関して、自国にいたときと変わらないかむしろ下がる」と語っていた。
- 小さな子どもがいるため、食費・オムツ・ミルク代が高額
- 自炊でも野菜や肉の値段が高く、出費がかさむ
- 家族の移動のために車の維持が必須
なお、子どもが大きくなればインターナショナルスクールへの補助も得られるが、
まだその段階には至っておらず、会社補助を十分に享受できていない点も影響しているようだ。
結論:どちらを選ぶかは“人生観”の問題である

最終的には、単身か帯同か、どちらを選ぶかは 「何を大切にしたいのか」 という人生観に帰結する。
数字だけで損得を語るのではなく、家族の将来、キャリアの方向性、自分自身の成長──
それらを総合的に見つめて、納得のいく選択をしていただきたい。
まとめ:選ぶ前に、自分と家族に「問うべきこと」
- 自分は何のために海外へ行くのか?
- 家族はどんな不安を抱いているのか?
- この経験を、帰国後にどう活かしたいのか?
「正解」はない。だが、「納得解」はある。
それは、他人の答えではなく、自分たちで導き出した答えであるべきだ。
📢 磯賀場 真我からひと言
単身か帯同か──どちらを選んでも、正解はない。
判断を下すことは、人生を選ぶことに等しい。
だが、選んだ後に「これでよかった」と思えるよう、準備を尽くすことこそが、
サラリーマンの “本物の責任” である。
大切なのは、選んだ道で “何を得るか” である。
健闘を祈る