
年収を上げたいなら、英語をやるべきか? それとも技術力を極めるべきか?
この問いは、いまや転職市場で戦うすべてのビジネスパーソンに突きつけられている現実である。
とりわけグローバル化が進み、外資系企業や海外拠点とのやり取りが増えた今日、英語力の重要性は年々高まっている。
一方で、AI、データ、ソフトウェア、機械設計など、技術職の価値もますます上昇している。
では、年収アップを実現したい我々は、どちらを優先的に磨くべきなのか?
この記事では実体験と市場動向をもとに、その答えを読み解いていこう。
申し遅れました。
本記事の案内人、磯賀場 真我(いそがば まわれ)と申します。
かつて「使えないエンジニア」と揶揄された時期もあった私だが、
転職と海外赴任を経て、5年間で約600万円の年収アップを実現。
「もっと早く知っていれば…」と思う仕事のコツや、評価されるポイント、
遠回りのようで確実な「急がば回れ」の仕事術、年収を上げるために本当に必要な考え方と行動を伝えている。
以下の記事もあわせて読むことで、この記事や本ブログの主旨への理解がより深まるはずだ。
▶️ このブログの全体像(年収アップメソッドの概要)
▶️ 年収推移の実例(5年間で年収600万円アップの軌跡)
【結論】どちらも重要だが、「時期」と「戦略」で優先順位は変わる

英語と技術、どちらも年収アップには有効な武器である。
しかし、同時に両方を極めるのは時間も労力もかかる。
よって、「今の自分にとって、どちらがよりレバレッジになるか」を見極める視点が重要となる。
以下、具体的なケースで分けて考えてみよう。
ケース①:若手・中堅エンジニア(20代後半〜30代前半)
まずは技術一本で突き抜けよ。英語は “通訳越し” で何とかなる。
若手にとっての最大の武器は「実績」ではなく「伸びしろ」である。
この時期に中途半端な英語力を身につけるより、1つでも他者と差別化できる専門技術(CAE・制御スキル・専用ツール・機構設計など)を深堀りした方が、年収レンジは確実に上がる。
実際、英語が得意でなくても海外との仕事をしている人材は多く存在する。
特に短期の海外出張やリモート対応では、通訳がつく、あるいは資料読みや事前調整で十分に成り立つケースも多い。
必ずしも流暢な会話が求められるわけではないのだ。
さらに言えば、若さそのものが、極めて大きな武器である。
新しいことへの吸収力は高く、失敗しても立ち直りが早い。
周囲も「まだ若いから」とある程度の未熟さや失敗を許容してくれるため、挑戦しやすい環境が自然と整っているのだ。
だからこそ、今この時期にしかできない技術への没頭が、その後のキャリアの基盤となる。
焦ってすべてを身につけようとせず、「武器を一つ、まず極める」ことに全力を注ぐべきである。
ケース②:課長クラス以上のマネジメント層
英語ができなければ、昇格にも転職にも天井がくる。
マネジメントレベルになると、社外パートナーや海外とのやり取りは避けられない。
このとき英語ができないと「部下に任せるだけ」「現地任せ」になり、評価に結びつきにくくなる。
さらに、外資系やグローバル企業では、英語力が “フィルター” として使われている。
英語が話せることが、実力以前の “参加資格” とされる場面もあるのだ。
そして実際、管理職昇格の条件として「英語力」を明文化している企業も少なくない。
メール・会議・交渉──いずれにおいても、グローバル拠点との接点が避けられない以上、英語力が“業務遂行の前提スキル”となるのは当然の流れである。
「管理職に英語は不要」という時代は、すでに終わっている。
ケース③:転職活動を控える全職種共通層
“英語ができる技術者” という希少価値が市場で跳ねる。
転職市場においては、「英語もできるエンジニア」「技術も分かる営業」といった “ハイブリッド人材” が圧倒的に有利である。
英語レジュメや外資系エージェント経由の案件にも応募できるため、応募先の年収帯がワンランク上がる。
ただし、TOEICの点数だけでは不十分。実務で使えるレベルを目指す必要がある。
わたし自身、転職で何度か面接を受け、また採用側として面接に立ち会ってきた経験がある。
その中で強く感じたのは、TOEICの点数が話題にのぼることはほとんどないという事実である。
履歴書でスコアが確認されることはあるが、それ以上に面接で重視されるのは以下のような点である:
- 海外とどのような業務をしてきたか
- どのような役割・立場で関わったか
- 海外出張や海外赴任の経験があるか
つまり、「英語ができる」ことよりも、「英語を使って何をやってきたか」が問われているのだ。
この違いを理解していないと、表面的なスキル磨きに終始してしまい、面接で響かない。
採用側の「英語評価」は、担当者の英語力と事業構造に左右される

英語力が評価されるか否かは、誰が採用を担当するか、またその会社の事業構造がどうなっているかによって、大きく左右される。
面接官自身が英語を使える場合は、応募者にも英語力を強く求める傾向がある。
一方で、面接官が英語に苦手意識を持っている場合、技術面の評価に重きを置くことが多い。
これは、「自分ができないことを人に要求しづらい」という人間心理の表れである。
さらに、国内市場に依存した企業であれば、英語の優先度は自然と下がる。
だが、今の日本経済を考えれば、将来的に海外市場を無視できないのは明らかである。
英語を軽視している企業は、年収テーブルも伸びづらい傾向にあると見てよいだろう。
では、どう選ぶか?優先順位の決め方3ステップ

- 今の年収と職種で、“英語”と“技術”のどちらがボトルネックか?
- 3年後のなりたい姿に、どちらがより効果的か?
- 会社外で使えるスキルとして、どちらがより市場価値があるか?
これらをもとに、まずは1つのスキルに集中して伸ばすのが得策である。
途中で方向転換することもできるが、伸びきらないスキルでは市場評価は上がらない。
英語か?技術か?──ではなく、最後は「自分の戦略」次第である

英語も技術も、それぞれが強力な武器だ。
しかし、武器は戦う場所を間違えれば、むしろ足を引っ張るリスクにもなる。
大事なのは、「今の自分にとっての最適解」を選ぶこと。
そしてそれを、市場価値に変換できる場所で使うことである。
加えて、“伸びやすさ” と “伸ばしにくさ” の違いにも注意したい。
技術に関しては、OJT(On-the-Job Training)を通じて、現業務の中で自然に習得される可能性が高い。
もちろん、関連領域や将来に向けた分野へのチャレンジには、自主的な努力が不可欠だ。
だが、英語については、業務で必要性がなければまったく使われず、まったく伸びないまま終わる可能性が高い。
だからこそ、英語には意識的に時間とリソースを割く必要があるのだ。
わたしの意見としては、技術よりも英語に少し重点を置いておくくらいが、長期的にはちょうど良いバランスであると考えている。
年収アップとは、戦略である。
そしてその戦略には、「学びのバランス配分」もまた、重要な意思決定なのだ。
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📢 磯賀場 真我からひと言:
英語を磨くべきか、技術を深めるべきか──
その問いに、誰もが一度は悩む。
だが大切なのは、「今この瞬間の自分にとって、どちらが最も効果的か」を見極めることだ。
答えは、流行でも他人でもなく、自分のキャリア戦略の中にこそある。
――焦るな。ただ、選び抜け。
健闘を祈る