
特許と聞いて、あなたはどう感じるだろうか?
「自分には関係ない」「難しそう」「すごい人だけのもの」──多くの技術者がそう思い込んでいる。
だが、断言しよう。
特許は “選ばれた者” のものではなく、“気づいた者” のものである。
本記事では、私の実体験をもとに、「特許がキャリアにも年収にも効く」その本質を語ろう。
申し遅れました。
本記事の案内人、磯賀場 真我(いそがば まわれ)と申します。
かつて「使えないエンジニア」と揶揄された時期もあった私だが、
転職と海外赴任を経て、5年間で約600万円の年収アップを実現。
「もっと早く知っていれば…」と思う仕事のコツや、評価されるポイント、
遠回りのようで確実な「急がば回れ」の仕事術、年収を上げるために本当に必要な考え方と行動を伝えている。
以下の記事もあわせて読むことで、この記事や本ブログの主旨への理解がより深まるはずだ。
▶️ このブログの全体像(年収アップメソッドの概要)
▶️ 年収推移の実例(5年間で年収600万円アップの軌跡)
特許出願が当たり前だった新人時代
前述のように、私は、いわゆる “使えない新人エンジニア” だった。
だが、新卒で配属されたのは、社内でも特許出願件数がトップクラスの精鋭チーム。
おかげで、入社1年目で筆頭発明者として3件出願。
これが当たり前の環境だった。
特許出願は “日常業務の一部” であり、特別扱いされるものではなかった。
だからこそ、特許に対する心理的ハードルは、最初から低かったのだ。
宝の山をスルーしていないか?

開発をしていれば、必ず「壁」にぶち当たる。
それを乗り越えるために生まれる“工夫”──そこにこそ特許の種がある。
問題は、それに気づくか、スルーするか。
- 「また面倒な仕様変更だ…」
- 「とにかく仕上げないと…」
そうやって通り過ぎたその場に、実は宝が埋まっていたのではないか?
発明とは、「天才のひらめき」ではない。
日々のブレークスルーを “拾う習慣” の中から生まれるのだ。
特許は「出島」である──内に秘めた技術を “誇り” として世に出せ

開発者にとって、業務で扱う情報の多くは機密情報だ。
先行開発内容や詳細技術など、社外に漏らすことなど基本的に許されない。
だが、特許出願は別である。
それは、自分のアイデアを権利として守るだけでなく、
公に技術を発信できる数少ない場でもある。
特許とは、技術者にとって「江戸時代の出島」である。
閉ざされた情報の世界で、数少ない外部発信手段だからだ。
ぜひ、普段内に秘めている技術の熱を、この場で解放してほしい。
それは、開発者としての“誇り”を外に向けて伝える行為でもある。
特許出願は、思ったより簡単である
「特許って難しそう」、「出願は大変そう」──よく聞く声だ。
だが、実際には以下のような面倒な部分は、知財部や弁理士が担当してくれる会社が多い。
- 請求項(クレーム)の構成
- 明細書や図面の作成
- 書類の提出手続き
発明者がすべきことは、ただ一つ。
自分のアイデアを、明確に伝えること。
- どんな課題に対し
- どんな工夫をしたのか
- なぜそれで解決できたのか
これらをしっかり ”言語化”、”見える化” すれば、あとは専門家が “カタチ” にしてくれる。
「言語化、見える化」に関しては、以下記事を読んでほしい。
“伝わる仕事”をする者だけが評価される──その鍵は「言語化」と「見える化」にある
ここで、私の新人時代のエピソードを紹介しよう。
ある日、課長クラスの上司が知財担当者を呼び出し、
その場でフローチャートをざっくりと手書きして説明し、こう言ったのだ。
「じゃあ、これでお願い!」
私はそれを見て驚いた。
まるで「昼食の注文でもしているかのような」気軽さだったからだ。
もちろん、それなりの立場にあるからできたことでもある。
だが、同時に思った。「アイデアさえあれば、これだけでいいのか」と。
実際、その上司の発明はしっかりと出願され、登録もされていた。
要は、構える必要はない。
難しく考えるから動けなくなるのだ。
特許出願は、「伝える努力」だけで十分に始められるのである。
私が追加していた「クレーム案」というひと手間
特許アイデアが出たときには、まずアイデアシートを作成するのが定番である。
これは、どの企業でも基本的に以下のような構成が一般的だろう。
- 背景・課題
- 解決手段とその効果
- 実施例(できる限り具体的に)
ここまでは、いわば “お作法” である。
だが、私はそこに「請求項案(クレームのたたき台)」を必ず添えるようにしていた。
その理由は明快だ。
弁理士から上がってくるクレーム案と、自分の意図がズレていることが多々あるからである。
後から修正するのは、二度手間で非効率だ。
また、「この発明の核心はどこか?」「何を一番権利化すべきか?」という意識を自分自身で掘り下げることで、発明の本質が見えてくる。
だからこそ、私はあえて「クレーム案」まで記述していた。
もちろん、やりすぎると知財部から煙たがられる可能性もあるため、そのあたりは“空気を読む力”も求められる。
特許は “年収” にも “転職” にも効く

報奨金制度がある会社では、出願・登録・実施ごとに金銭的インセンティブが発生する。
- 出願報奨金
- 登録報奨金
- 実績報奨金(事業化された場合)
私の場合、累積すると新車一台分程度の報奨金を受け取った。
出願件数を考えると、決して大きな金額とは言えないかもしれぬが、
既婚・お小遣い制の身としては、非常に助かる副収入であった。
さらに言えば──
特許実績は、職務経歴書に書ける最強の武器でもある。
自己申告的なものが多い中、特許に関しては、公開後であれば、誰でも確認できるからだ。
私自身、過去に特許がきっかけでヘッドハンティングされたこともある。
企業は、知財を持つ人間に価値を感じるのだ。
以下関連記事も、ぜひ併せて読んでほしい。
転職で年収アップを狙うなら、「売りポイント」を磨け
【差がつく転職準備】スキルは足すな、掛けよ──替えのきかぬ存在になる方法
まとめ|特許とは「気づき」を “資産” に変える技術

- 特許は意識と環境さえ整えば、技術者なら誰にでもチャンスがある
- 日々の開発業務こそが、アイデアの宝庫である
- 出願はプロの力を借りれば、思ったより手軽にできる
- 報酬にもつながり、キャリアの“武器”にもなる
- 技術者にとって、数少ない “外への発信手段” でもある
もちろん、特許には「新規性」や「進歩性」が求められる。
つまり、それなりに技術的に踏み込んだ仕事をしている必要があるということだ。
だからこそ、開発職・技術職に就いているエンジニアにとって、
「特許を出せるかどうか」は、
“能力の差” ではなく、“意識の差” によって決まることも多い。
宝の山は、目の前にある。
それに気づき、拾うかどうか──すべてはあなた次第だ。
📢 磯賀場 真我からひと言:
アイデアは、頭の中に閉じ込めておくだけでは価値を持たない。
カタチにして、守り、伝えて、初めて “資産” となる。
技術者(エンジニア)である君にこそ、特許という “武器” を持ってほしい。
健闘を祈る